2012年7月16日月曜日

卑怯者!

子どもがどのくらいお母さんのことを好きなのか、
ということは、頭ではわかっていても、実感として
なかなかわからないものです。

特にお母さんは子どもがどう思っているか、という
ことに敏感なようで鈍感な部分もあると思います。

それはどうすることもできないことでもあるのです。
お母さんだって自分の人生を必死に生きているんです。
全部が全部を受け入れることができなくても、おかしくは
ありません。

それでも、ただ、母親だというだけで、しなければ
いけないことが本当にたくさん出てきます。

お母さんだって、辛いし、しんどいし、泣きたいこと
だっていっぱいあるはずです。それを我慢して生きて
いるんです。


でも、子どもにとっては、唯一無二のお母さんなのです。


先日も保健士の先生と子どもの虐待の話をしていました。
以前、無理を言って、その保健士の方に虐待を受けている
子どもとの面談に同席させていただきました。

私もたくさんの子ども達がいじめを受けてきたのを
見てきていますから、体のあざとか怪我とかは
見てもそれほど驚きません。

しかし、あのときは驚きを隠せませんでした。
体中のあざと、たばこの火を押し付けられたあとだらけ
でした。まだ、幼稚園の年少の小さな子どもがです。

それでも、約40分の間、保健士の先生と怪我のことで
話をしている間、一度もお母さんにされたとは言いません
でした。

無理に聞き出そうとしているわけではないので、よけいに
怪我のことにはこちらから聞かなければ、触れようともしません。
まだ小さくそれほどしっかりもしゃべれないせいもあります。


それでも、たばこの火を押し付けられたあとについて尋ねられると、
小さいなりに必死に考えて、絶対にお母さんにされたとは
言わないのです。

この小さな子にこんなことができるのか、と思うくらいの
状態なのにも関わらず、その子はお母さんをかばい続ける
のです。

とてもその子を見ていられず、私はそっと部屋を出て
しまいました。あまりにもけな気で、思いが一途なのに
現実がちがいすぎるのに耐えられなかったのです。

この子は最後までお母さんに虐待をうけているとは
一度も言わなかったのです。

そのときのことを保健士の先生とお話をしていたのです。
その保健士の先生によると、本当に子どもは一途で、
どれだけ辛い状況になってもお母さんが好きなんだそうです。


子どもが母親を思う気持ちは、これほどまでに強いのです。


そのお母さんに向かって、
「うるさい、だまれ、しゃべんな!」と
言う子どもの気持ちは、どれほどのものか…。


小学校高学年くらいの女の子は第2次性徴が始まり、
体つきも変わり、生理も始まっている子もいて、
ホルモンバランスもよくありません。

どうしても落ち着かない状態に自然となっている
ところへ、お母さんとぶつかってしまえば、その分、
ぶつかりも激しくなってしまいます。


そのときは単純な腹立ちかもしれませんが、後々、
自分が一番大好きなお母さんにそう言ってしまった、
その思いは子どもの心に大きな負担になっていると
私は思っています。

まして、そのお母さんが自分には猛烈に勉強のことで
怒っていたのに、お父さんが帰ってきた途端に手のひらを
返したように、いい母親を演じ始めたときはたいへんです。


考えてもみてください。


大好きな、この世で一番大好きなお母さんに、
「うるさい」と言ってしまった自分がいるのです。
自分を自分で責め始めているのです。

そのお母さんは、自分をさっきまで責め立てていたのです。
それは自分にも責任があるので仕方がないと受け止める
ことはできているのです。

でも、手のひらを返したように、いい母親を演じられると、
子ども達は完全に見捨てられたように思っても仕方がないと
思いませんか?


まして、子どもがお母さんに怒られて、頭や顔を
叩かれでもしていたら、尚更です。


お父さんが帰ってきて、今までの自分への怒りを
あたかもなかったようにされるばかりか、いい母親を演じるの
ですから、子ども心に「卑怯者!」と言いたくなるのは当然です。

その上、自分への関心はその程度のものなんだと感じるのです。
所詮、「私は成績だけとればいいのか」と。
それ以外では、お母さんには認めてもらえないのか、と。

そうなると、失望感、虚無感、そういったものが、
心に芽生え始めます。見捨てられたような感覚は
子どもの心にはたいへん辛いのです。


1回、2回なら子どももお母さんだってイライラして
たんだろうくらいですむのです。それが毎回だと、
子どもはもうやっていられなくなります。

そうすると、もうお母さんの言うことなんて聞く耳
持たず、という状態になっていきます。


子どもに対して一貫して同じようにしていれば、まだ
子どもは納得できるんです。お父さんの前でも同じとなれば
自分が悪いと反省もし、お母さんの言葉を受け入れようとします。

でも、そうでなければ、子どもにとっては自分への思いは
その程度なのか、という思いだけが残り、勉強をがんばろう
というような前向きな気持ちは湧き上がってはこないのです。


これで勉強をしろ!点数を取れ!と言われて、仕方なく勉強
しても、点数を取れるようになることが無理なことはおわかり
いただけると思います。こんな心の状態では無理なのです。


点数を取らせたければ、点数が取れるようにもっていかないと
いけないのです。


でも、お母様のイライラする気持ちもわからなくもないのです。


そのことについては、また後日お話したいと思います。
今日も最後までお読みいただきありがとうございます。

           進学塾TMC池田
           http://tmc-ikeda.com/

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